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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

というわけで遂にエー誕です。
SSはスモエーですが、お楽しみくだされば幸せです。



ほ、っと暗闇に浮かんだ街灯の光に微笑んでから瞼を閉じる。
息は白く、空気は薄い。
上着が透けるような寒さに身を震わせながら、温もりを握る。
呼吸の日から、数えて二十。隣には、大きな掌が在る。

「寒くねぇか?」

低い、下から響くような声が降る。

「大丈夫」

安堵する温かみには欠けるが、その分触れた掌が体温を分けてくれる。

「人、いねェな・・」

こんな日に出歩く者もそう居ない。
加えてこの辺りは静かな所だ、元旦だと飲み騒ぐ学生も、早々と初詣に向かう家族も見えない。
この日だからこそ繋げる掌が有り難い。

「飽きられねェようにしねェとな・・」
「どういう意味だ?」
「そのままの、意味」
「詰まらねぇことを言うな」

真顔で言う顔が好きだ。
何を言ってるんだと笑い飛ばされるのはあまり趣味じゃない。

「アンタは初詣とか、興味あるか?」
「どうだろうな」
「俺はねェけど、今年は行ってもいいと思ってる」

神に願うことはこれっきりだ。
して二十年目の抱負と、願わくば希望を。

「神に言ってやることは一つだ」

もう紫煙とも吐息とも分からない靄を吹き飛ばして暖色に染める。
頭上の街灯はほわりとやわらかい。

「アンタが、いいんだ」

言葉無く、破顔した相手にそっと耳打ちする。
相手にしか聞こえない、相手にしか与えない言葉を囁いて、幸せに浸る。
街灯が消えたことに気付かなかったのは、二人とも瞼を閉じていたからだった。



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