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リハビリ。
ちょい切なめ・・を目指してみた。
原作捏造注意のシャンエーです。
短いと馬鹿にされる人生で唯一、悔いていることがある。
それは決してもう覆ることはなく、これから先プラスに転じこともない。
どうして、と。そればかりが自分の胸を痛めつける。
それはさながら二度と這い上がれないと知っている海に飛び込む方が幸せだと思える程、痛かった。
あの赤髪に触れていない時間が増えれば増える程、その痛みは自らを追い詰めた。
いっそ、海に飛び込もうか。
そう思うこともしばしばで、いつしか周りさえ怪訝に思う程、海に焦がれた。
待っている気がするのだ。あの海で。
弟のために腕をやったという海で、消えるなら本望だ。
けれどそれは出来ない。
負けるようで、逃げるようで。また、もし此処にいたら弟と同じく助けてくれるだろうかと、虚しい夢を描く自分に嫌気がして。
そんな風に汚れるならば、全てを忘却に流したい。
赤髪を知らなかった世界に、生まれ直したい。
「断る」
どうしてそう告げてしまったのか。
仲間にならないかと言った赤髪の手を振り払って、言う。
後々酷く後悔することも知らずに過去の自分は今も、その時の中で告げているに違いない。
長く続いた任務を終え、母船へ帰ると、船員一同疲れた顔をしている。
どうせそこらの敵船と遣り合ったのだろうと揶揄すれば、そんな軽いノリで語れるものではないと、恐れを知らなかった筈の隊員は言う。
では何かと問えば、代わりに後ろでマルコの声がした。
「赤髪のことだい・・」
一瞬だけ、声が出なかった。
「あ、赤髪・・?」
「赤髪が、親父と話をしに来たんだい」
「話って何のだ」
「・・それは知らされてねェよい」
マルコが静かに嘆息すると、途端に足元が崩れるような感覚が襲った。
ぐらり、と地が揺らぐように、自らの膝ががくりと落ちる。
何事だと気遣うマルコの声も遠い。視界が狭まっていた。
「赤髪が・・来た、のか・・」
よりにもよって自らの不在の時に、だ。
日々夢見ている何年かぶりの再会は、叶わなかった。
「クソ・・」
また、胸が痛い。後悔の痛みだ。
此処にマルコが居なかったら勢いよく海へ飛び込んで行ってしまったことだろう。
自分は思っている以上に脆かった。
「あのヤロウ・・」
どうして言ったのか、あの言葉を。
後悔は怒りに変わり、その矛先は過去の自分へと向かっている。
わかってはいるのだ。
過去の自分も、自分、だと。
けれど「今」、過去の自分があの手を取るなら、自分は今、此処で拳を握り締めていないだろう。
あの赤髪の傍らで、笑っているはずだ。
「どうして、俺は・・」
断る、と言ったのだろう。
「エース、お前もうすぐ海へ出るんだろ?」
夕日に染められた海を一瞥して、赤髪が言う。
早く海へ出たいと騒ぐ弟を抑えてなお、自らは着実にその準備を進めていた頃だった。
赤髪がふ、と口元を引き上げて笑う。
来ないか、仲間として。
考える時間は十分に用意されていた筈だ。
「断る」
けれど、自らの口から出た言葉はそれで。
すぐさま驚く。どうしてだと自身に問う間さえなかった。
「・・もったいないことするな、俺が誘ってんのに」
「悪ィな」
「いいさ、お前なら何か考えがあるんだろう」
そう言って終わったやり取りを、どうか。
急に振り出した雨は、自分と相手をより遠ざけようとしている気がした。
見えない赤い髪が靡く様はもう、感じることは出来ない。
「断る・・」
あの時既に、自らの運命は既に相手のそれから外れていたのだ。
同じ世界にいることは、もう叶わない。
切ないのか?コレ・・
というか原作、捏造しすぎだ。
・・まだまだリハビリ必要です。