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原作設定、D兄弟です。
若干エースが弱い感じなので、ご注意ください。
エース旅立ちの日。
若干エースが弱い感じなので、ご注意ください。
エース旅立ちの日。
走って、走って、息が切れるまで走った。
置いて行かれたくないから、呼吸が止まってもいい、とさえ思った。
「エースっ!!」
人の間から、波に揺れる小さな船に乗りこんだエースが見える。
叫んだ声が届いたのか、エースはルフィの姿を見ると笑って縄を解く手を止めた。
「行くなよっ!まだ行くなっ‥!!」
掠れた声を追い越すように、ルフィはエースに駆け寄る。
エースは何も言わない。ただ揺れる船から弟を見つめて、困ったように笑った。
朝、枕もとに置いてあった手紙がルフィの頭をちらつく。
「ルフィ、落ち着いて?ね?」
エースの傍らに居たマキノが咄嗟になだめに入る。けれど手荒に人混みを掻き分けて来たルフィには、その声は届かない。
興奮でぐちゃぐちゃになった顔が、今にも泣き出しそうに歪んでエース目掛けて突っ込んだ。
エースはその頭を撫でて、笑う。
「泣くなよ、ルフィ。また延期になっちまうだろ?」
先週も、こうやって泣きじゃくる弟を放っておけなくて、出航を取りやめた。三回目だった。
「そうよルフィ。エースを笑って送り出してあげましょう?」
マキノは諭すように優しくルフィの肩に手を乗せたが、ルフィはぶんぶんと首を振ってエースから離れようとしない。
マキノとエースは目を合わせて、苦笑した。
「‥‥おれは怒ってるんだぞ、ばかエース‥」
「あぁ‥黙って行こうとしたことは謝る。手紙だけなんて、やっぱり嫌だったよな‥」
「違う!!」
それも嫌だけど、本当に嫌なのはそれじゃない。
ルフィは涙で詰まる言葉を飲み込んで、エースの腰に回した腕により力を込めた。
「置いてかれるのは‥嫌だ‥」
「ルフィ‥‥」
決して離れようとしない弟を前にして、エースはまた決心が揺らぎそうになる。
けれどそれを振り払うように、ぐっとルフィを抱きこんだ。
エースの目も、じんわり赤くなる。
「ごめんなルフィ‥‥」
「嫌だ‥嫌だ、エース」
行かないでくれよ、置いて行かないでくれよ、と。
耳元で小さく震える弟の声が、エースの抱きしめる力を強くさせる。
泣けない。これから旅立とうとする身としては、絶対に泣いてはいけないのに。
「――エースはおれの兄ちゃんだろ‥なんで一人で行っちまうんだよ‥」
その言葉で、すべてが堰を切ったように溢れた。
「ごめん、ごめんなルフィ‥」
「エースの、ばかやろう‥!!」
がんがんとルフィがエースの胸を叩く。
「ズリィぞっ!!エースが泣いたら、おれは‥おれは‥‥」
――送り出してやらねばならなくなる。
今までエースは別れ際に決して泣かなかった。だから最後までルフィは行かないでくれと言えた、甘えていられた。
それがこんな風に泣かれてしまったら何も言えなくなる。それどころか、弟としては兄貴の涙を止めたいとさえ思ってしまう。
置いて行くな、なんてわがままも言わないから。
「おれ、もう泣かねぇ。行くなとも‥言わねぇ」
「‥‥いいのか?」
「いいんだ。だから‥笑う、笑ってエースを送り出す」
そう言って、ルフィは涙でぐちゃぐちゃの顔で笑った。
小さな拳が、赤い。
きっと無理をしているのだ、と気付いたが、エースは迷わず告げた。
「――ありがとう」
陸との別れを惜しむように、エースはゆっくりと縄を解き始める。
その手がいつの間にか大人のそれに近いものになっていたことに、今更ながらルフィは気付く。
「エース」
「ん、どうした?」
解き終わった縄が、ぱさりとエースの手からルフィの足元に落ちる。
「三年‥あっという間だよな?」
「あぁ、あっという間だ」
エースがぐっと陸を蹴ると、徐々に船は動き出す。
最後に、エースは痛いくらいにルフィの頭を掻き撫でて笑った。
「お前はずっと、俺の弟だ‥‥ルフィ」
一度波に乗ってしまうと、小舟は地平線から消えるようだった。既にエースの姿はない。
「エースも、ずっとおれの兄ちゃんだ‥」
もう、涙を拭ってくれた兄はいない。
だからルフィは再びこぼれ始めた涙を、自分で拭った。
_____
もっとあっさりお別れしたんだろうけど・・
こんな兄弟も後藤の中ではアリです。
置いて行かれたくないから、呼吸が止まってもいい、とさえ思った。
「エースっ!!」
人の間から、波に揺れる小さな船に乗りこんだエースが見える。
叫んだ声が届いたのか、エースはルフィの姿を見ると笑って縄を解く手を止めた。
「行くなよっ!まだ行くなっ‥!!」
掠れた声を追い越すように、ルフィはエースに駆け寄る。
エースは何も言わない。ただ揺れる船から弟を見つめて、困ったように笑った。
朝、枕もとに置いてあった手紙がルフィの頭をちらつく。
「ルフィ、落ち着いて?ね?」
エースの傍らに居たマキノが咄嗟になだめに入る。けれど手荒に人混みを掻き分けて来たルフィには、その声は届かない。
興奮でぐちゃぐちゃになった顔が、今にも泣き出しそうに歪んでエース目掛けて突っ込んだ。
エースはその頭を撫でて、笑う。
「泣くなよ、ルフィ。また延期になっちまうだろ?」
先週も、こうやって泣きじゃくる弟を放っておけなくて、出航を取りやめた。三回目だった。
「そうよルフィ。エースを笑って送り出してあげましょう?」
マキノは諭すように優しくルフィの肩に手を乗せたが、ルフィはぶんぶんと首を振ってエースから離れようとしない。
マキノとエースは目を合わせて、苦笑した。
「‥‥おれは怒ってるんだぞ、ばかエース‥」
「あぁ‥黙って行こうとしたことは謝る。手紙だけなんて、やっぱり嫌だったよな‥」
「違う!!」
それも嫌だけど、本当に嫌なのはそれじゃない。
ルフィは涙で詰まる言葉を飲み込んで、エースの腰に回した腕により力を込めた。
「置いてかれるのは‥嫌だ‥」
「ルフィ‥‥」
決して離れようとしない弟を前にして、エースはまた決心が揺らぎそうになる。
けれどそれを振り払うように、ぐっとルフィを抱きこんだ。
エースの目も、じんわり赤くなる。
「ごめんなルフィ‥‥」
「嫌だ‥嫌だ、エース」
行かないでくれよ、置いて行かないでくれよ、と。
耳元で小さく震える弟の声が、エースの抱きしめる力を強くさせる。
泣けない。これから旅立とうとする身としては、絶対に泣いてはいけないのに。
「――エースはおれの兄ちゃんだろ‥なんで一人で行っちまうんだよ‥」
その言葉で、すべてが堰を切ったように溢れた。
「ごめん、ごめんなルフィ‥」
「エースの、ばかやろう‥!!」
がんがんとルフィがエースの胸を叩く。
「ズリィぞっ!!エースが泣いたら、おれは‥おれは‥‥」
――送り出してやらねばならなくなる。
今までエースは別れ際に決して泣かなかった。だから最後までルフィは行かないでくれと言えた、甘えていられた。
それがこんな風に泣かれてしまったら何も言えなくなる。それどころか、弟としては兄貴の涙を止めたいとさえ思ってしまう。
置いて行くな、なんてわがままも言わないから。
「おれ、もう泣かねぇ。行くなとも‥言わねぇ」
「‥‥いいのか?」
「いいんだ。だから‥笑う、笑ってエースを送り出す」
そう言って、ルフィは涙でぐちゃぐちゃの顔で笑った。
小さな拳が、赤い。
きっと無理をしているのだ、と気付いたが、エースは迷わず告げた。
「――ありがとう」
陸との別れを惜しむように、エースはゆっくりと縄を解き始める。
その手がいつの間にか大人のそれに近いものになっていたことに、今更ながらルフィは気付く。
「エース」
「ん、どうした?」
解き終わった縄が、ぱさりとエースの手からルフィの足元に落ちる。
「三年‥あっという間だよな?」
「あぁ、あっという間だ」
エースがぐっと陸を蹴ると、徐々に船は動き出す。
最後に、エースは痛いくらいにルフィの頭を掻き撫でて笑った。
「お前はずっと、俺の弟だ‥‥ルフィ」
一度波に乗ってしまうと、小舟は地平線から消えるようだった。既にエースの姿はない。
「エースも、ずっとおれの兄ちゃんだ‥」
もう、涙を拭ってくれた兄はいない。
だからルフィは再びこぼれ始めた涙を、自分で拭った。
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もっとあっさりお別れしたんだろうけど・・
こんな兄弟も後藤の中ではアリです。
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